2月2日(火)から、ヒッコリースリートラベラーズ2階にて「エストニアのデザイン展」が始まります! エストニアのデザイナー13組が手がけたインテリアや雑貨が大集合。日本にまだあまり入ってきていない「エストニアのデザイン」を手にとっていただき、さらにご購入いただけます。
*会期中はオンラインショップからもお買い求めいただけます(オリジナルグッズ以外は販売終了いたしました)
そもそも「エストニアってどこだっけ?」と迷う人も少なくないはず。エストニアという国のこと、デザインのこと、そして今回のイベントの詳細についてまとめました。
■ エストニアって、どんなところ?
バルト三国のいちばん北側、海を挟んでフィンランドの南に位置するエストニア。日本の九州ほどの大きさの国土に、人口約132万人が暮らしています。新潟県の人口がおよそ220万人なので、ひとつの国としてはなかなかコンパクト。国土の約半分を占める森林には1400を超える湖沼を湛え、湿原が広がり、渡り鳥の群れが飛来します。実は島がたくさんある国でもあり、その数1500以上! 多くの島では今でも昔ながらの生活習慣が維持されています。
また近年は「電子国家」としても注目されつつあるエストニア。納税、法人登記、投票などのあらゆる行政手続きがほぼ100%電子化されているなど、国の施策にデジタルを活用していることが暮らしやビジネスを円滑にしているようです。起業がしやすく、IT業界を中心にスタートアップ企業に活気があるんだとか。Skypeを筆頭にエストニアからユニコーン企業が続々と生まれています。
そしてエストニアはフィンランドに勝るとも劣らない「サウナ大国」で、独自のサウナ文化をもっています。自然に恵まれたのどかな環境のなか、デジタルの力で人間の無駄な時間を削減し、サウナや森に入ったり家族や友人と過ごしたりして、人が人らしく生きることに集中している。のんびり、ぎすぎすしていない。エストニアの人たちからは、そんな印象を受けます。
■ エストニアのデザインを知る3つのキーワード
さて、今回ヒッコリースリートラベラーズで展示販売を行うのは、エストニアの20代、30代の若手デザイナーが手がけたプロダクト中心です。ルームシューズやブランケット、ストール(マフラー)、バッグ、アクセサリー、ポスター、天然葦のストロー、ロープ状ハンガーラックなど、お部屋にあるとなんだか和むものがいっぱいです。13のブランドそれぞれに異なる個性がありますが、ここではエストニアのデザインに共通している3つの特徴を導き出してみました。
1 北欧らしいミニマルなデザイン + ユーモア
2017年から国連により「北欧」とされているエストニア。文化や言語はフィンランドと近く、デザインも北欧諸国の影響を受けています。機能性を重視しながらも、ミニマルで洗練された飽きのこないデザインは、世代を超えて長く愛用されています。しかし、ただシンプルで美しいだけではなく、エストニアのデザインには一度見たら忘れられないような愛嬌があると思うのです。デザイナーたちは “talkative(何か言いたいことがあるようなデザイン)”だと表現。例えば、ルームシューズの〈TOKU トク〉は通気性をよくするためにつま先に小さな穴があいていますが、この穴が独特の雰囲気を醸し出しています。ロープ状のハンガーラック〈Nörk Rack ノルクラック〉は、クライミング好きのデザイナーがギアから着想を得て作ったもの。全面的には押し出しませんが、さりげないユーモアが使い手を和ましてくれます。
2 あるものを無駄にしない創造性
少し歴史の話をすると、エストニアは1991年に独立したある意味で若い国です。30年前に独立する以前はソ連の支配下にありました。ソ連時代を経験した30代より上の世代は、口をそろえて「当時は本当にものがなかった」といいます。ガレージにあるもので自作の芝刈り機を開発した、砂糖の麻袋からベッドリネンを作ったなんていう伝説も! ものを無駄にせず、「何かに使えないか」と頭をひねるDIYの精神は、いまも受け継がれているかもしれません。ファッションブランドの〈Reet Ausレート・アウス〉は、100%廃材の布地でしか服を作らないというポリシーを貫いています。また、〈Nordhale ノルドヘイル〉は、自動車のトランク内を覆うクッション生地の性質や質感を生かしてスタイリッシュなバッグへと生まれ変わらせました。そのほかにも、天然葦のストロー〈Suckors サックルズ〉は、海岸や湖畔に増えすぎて生態系を壊している葦を活用した、生物分解性のあるサステナブルなプロダクトです。
3 小さなコミュニティ
人口の少ないエストニアでは、お互いがお互いのことをよく知っています。たとえばものづくりの過程で「こんな素材があったら」「こんな技術を持っている人がいたら」と思ったとき、すぐにぴったりな相手が見つかり電話1本で仕事が始まる、というようなことがよくあるそうです。アクセサリーブランドの〈Lentsius Design レンツィウス・デザイン〉は、デザイナーのお兄さんが勤めている航空会社に廃棄予定のメタルパーツがあることを知り、これをピアスやブレスレットに加工することを思いつきました。また〈Kalii Sein カリ・セイン〉はソ連時代に使われていた中学校の理科室で、新品のまま眠っていた大量の試験管を引き取り、花を生けられる小さなピンバッチを作りました。どこからともなく素材の情報が入ってきて、適切な人と会うことができる。そんなほどよく小さなコミュニティが、デザインにも好影響を与えているようです。
■ 2月3日(水)19時〜 トークイベントも開催します!
エストニア展初日の翌日、2月3日(水)19時からエストニアと日本をつないでオンラインのトークイベントを開催します。
ゲストは、ルームシューズTOKUのデザイナー、Piibe Tomp(ピーベ・トンプ)さん。ピーベさんは、2018年に国内のデザイン賞ではもっとも大きな「Estonia Design Awards」の新人賞を受賞しています。実はピーベさん、エストニアには靴のデザインを専門的に学ぶところがなかったため、靴づくりは独学で勉強したそうです。一度はヨーロッパの大きな国で修行しようと考えたけれど、エストニアでデザイナーをすることを選んだ彼女。新潟市古町の商店街でお店を営みデザイン制作会社としてもお仕事をしている私たちにとっても、ピーベちゃんと色々お話してみたいところです。
地域に根差したデザイン活動を(グッドデザイン賞受賞)している私たちにとっても刺激になりますし、遠く離れた土地の方とお話しする機会はあまりないのでワクワクしています。エストニアのデザインやデザイナーたちが今考えていることなどをお聞きしたいと思います。
今回の展覧会とこのトークは、ちょっと前に新潟に移住し暮らしている編集者の橋本さんにあったのがきっかけです(そもそものきっかけのきっかけは、福井の鯖江の森くんで)。
エストニアってとてもいいところなんですよ〜というお話から始まり、以前エストニアに行って記事を書いたという経験とエストニアを知ってほしい!という気持ちが溢れていて僕もエストニアに興味がわいてきて、バルト三国の1つの国という知識だけだったのですが、人口130万人ってことや、フィンランドからすぐってことや、サウナがすごいってことや、なんだかデザインが素敵なことや、北欧だけどちょっと東欧っぽいことや、こんにちはがテレっていうことなど少しずつ知ってどんどん好きになってます。早くいきたい!!
で、いつか、エストニアで新潟のものを紹介したいし、展覧会もしてみたいな〜なんて、いろいろ想像が膨らんでいます。勢いが出てきて、エストニアに関する商品も作ってしまいました(たぶん間に合います)。新潟メイドです。
とにかく、お楽しみに〜 初めての中継、失敗したらすみません。きっと大丈夫です。
【 トークイベント 『コンチワ エストニア』 】
アーカイブはこちら か こちらから〜
15分後から始まりますよ^^
ゲスト Piibe Tomp(TOKUデザイナー)
ホスト 迫 一成、捧 ちひろ(hickory03travelers)
企 画 橋本 安奈(編集者)
通 訳 Stina Seppel
Piibe Tomp●ピーベ・トンプ
エストニアのシューズデザイナー。エストニアで唯一の国立芸術大学Estonian Academy of Artsのレザーデザイン課を卒業後、2017年からエストニアのシューズブランドTOKUのヘッドデザイナーを務める。2018年に「Estonia Design Awards」の新人賞を受賞。
橋本安奈●はしもと・あんな
編集者。新潟市在住。紙媒体の「ソトコト」と「TRANSIT」の編集部を経て、2020年秋に独立。海外文化、環境、まちづくり、食、デザインなどを中心に編集・執筆を行う。エストニアには2回訪れており、今回のエストニア展の発起人。
【エストニアのデザイン展 @ヒッコリースリートラベラーズ】
<場所> hickory03travelers 2階
<住所> 〒951-8063 新潟市中央区古町通3番町556
<電話> 025-228-5739
<営業時間>
平日...11:00〜16:00
土曜...11:00〜18:00
日曜...11:00〜17:00
2月11日(木祝)...11:00〜17:00
*月曜定休(祝日の場合は営業、翌火曜休み)
【取り扱いブランド】
■ エストニアのアレコレ
絵/小林 純子(ヒッコリースリートラベラーズ)参考/TRANSIT47号 バルト三国特集
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